「男子劣化社会」について

 ショッキングな題名かもしれませんが、離婚の増大、テロの多発等との関連もあり、避けては通れませんので、興味を持って頂きたいと思います。
 フィリップ・ジンバルドーとニキータ・クーロン著、晶文社。逗子図書館。

 ちょうど8月31日の読売新聞朝刊に、引きこもりの特集記事がありました。
 イタリアで若者の引きこもりが社会問題になり、日本語そのままの「HIKIKOMORI」として認識され始めているそうです。
 イタリアで設立された支援団体は、日本の支援団体とも提携しているそうで、
「世界で初めて引きこもり現象が起こった日本の知見を世界に伝える」
 ことが望まれているようです。

 本当に世界初かどうかはわかりませんが(たぶん、公的に発見されていないだけで、事例は各国で発生していたと思います)、少なくとも、日本は「引きこもり先進国」なわけですね。

 これはどうやら、先進国共通の社会現象のようです。今後は各国で、事象が表面化していくでしょう。

 このテーマについて、分析しているのが本書です。
 内容を抜き書きしますので、ぜひ図書館で手に取ってご覧下さい。

「ゲーム中毒、引きこもり、ニート……いまや記録的な数の男たちが、社会からはじかれている。学業では女子に敵わず、女性との付き合いや性関係でしくじり、正規の職に就くことができない。」

「世界的な不況や、社会構造の変化、そしてネットの普及が、彼らをより窮地に追い込み、ゲームやネットポルノの中に縛り付けている。」

「先進国共通の男子の問題に、解決策はあるのか?」

「社会における男性の役割のアップデートが切実に求められているが、かつての女性運動のようなまとまりのある男性運動は起きていない」

「社会は男らしさをヘゲモニー(権力の掌握)と結びつけているので、男性には戦士になるか、または一家の稼ぎ頭になる以外に、社会的に受け入れられる道はない。それ以外の新しい役割はすべて男らしさの伝統的概念を脅かすので、それを受け入れた男性は他の男たちからは見下され、異性からは付き合いや恋愛の対象としてみなされにくくなる。」

「よく言われることだが、主夫は負け犬とみなされ、〝いい人〟はもてない。」

「この変化し続ける不確かな世の中で新種の困難に直面した多くの若い男たちが、安全な場所にひきこもることを選んでいる。それは、自分で結末をコントロールでき、拒絶される恐れもない、自分の能力を称賛される場所だ。彼らにとってゲームとポルノはそんな場所だ。」

「加えて、忌むべきは彼らの中にある特権意識だ。欧米の不況が男性の就業に不利に働いたのは事実だが、私たちの高学歴の女性の同僚たちはこんな新しい現象について話してくれた。今どきの男たちの中には、ただ男として生まれてきたというだけで、自分にはあらゆる種類の権利があると思い込んでいる者たちがいるという」

「今では多くの男たちがママとパパのもとに、または結婚や同棲の中に、長期の避難場所を求めている。驚くほど大量の男たちが働いて家計を助けるどころか、自分たちの居住空間を片付いた状態に保つといった最低限の家事すらしたがらない。」

「ペンタゴンによる最新の統計では、17歳から24歳のアメリカ人の三分の一以上が、医学的または身体的な問題により兵役に適さない。……「彼らは腕立て伏せもできないんですよ……懸垂もできない。おまけに走れない。」……肥満にはまた別の側面もある。男性は体重が増えると(筋肉が増強するタイプの良質の体重増は別)、代謝に変化が起きて体内のホルモンのレベルが下がり、人付き合いや性的な能力が驚異的に低下するのだ。」

「とりわけ心配なのは、多くの国々で見られる離婚率の高さだ。」

「離婚後の男性の自殺率は女性のそれより10倍も高い。」

「もし私たちが導かなければ、男の子たちは村を焼き落とすだろう。 ――アフリカの諺」

「大人の男への移行期にある少年にとってきわめて重要なのは、彼らの存在を楽しみ、ありのまま受け入れてくれ、かつ自分の行いに責任を取れる人間になるよう導いてくれる大人の男性が単にまわりにいることなのだ。」


 私の個人的考えですが、現代社会は、少なくとも「教育を受けられた先進国の女性」にとっては、過去より暮らしやすくなっていると思います。
 ですが、男性の場合は、過去に持っていた地位や特権が失われ、それに替わる何かをまだ模索中で、苦しいことが多いのだろうと思います。
 この本が、男性の助けになりますように。私は現在も、女性の先達の本を助けにしていますから。

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この記事へのコメント

ニート1号
2017年09月13日 22:56
男性差別思考主義者ですね。
不確かな伝聞を公の事実のごとく書かれるのはいかがなものかと。

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